我らが主の年1870年、此処に私はペンを執り、我が驚異と冒険の物語、
広い世界で確かに見た珍奇と不思議の数々を綴ろうと思う。
斯く言う私は貴族を生業とする
マリワルト・フォン・グラール男爵夫人と申す者。
人は私の外見が絶世の美貌と言うが、私は左うも思って居ない。
幼少の折、私はルートヴィヒ一世に育てられ、
ロシア貴族の屋敷に於いて魔術の神秘を学んだ。
今日は気分転換にいつもの人里離れた屋敷からルリタニア王国に行ってきましたの
旅のお供は我が忠実なる執事ヨーゼフ・ケーニヒ
私がこの屋敷を頂く前からここに仕えていたそうで、時折外を眺めては何か叫んでいるみたい
そして主治医のドクトル・フリッツ・シュタイン
とても機転の利く頭の良いお医者様で
私が苦手な薬を飲むときでも上手に説得されてしまいますの
そして探検家のアルベルト・ベルナー
いつもどこか危険な所へ出かけて行っては面白おかしい話や不思議な土産物を持ってきてくださいます
そして疲れている体で私の作ったお菓子などを美味しいと言って食べてくださいますの
ヨーゼフやフリッツ医師も立場なんて気にしないで召し上がってくだされば良いのに
そして疲れきったベルナー様は私のクッキーを食べるととたんに倒れてしまいますの
ルリタニア王国ではステキな王子様に会うことが出来ましたが
彼に十分見合ったステキな婚約者がいらっしゃって、これからもお幸せに
私にもステキな王子様が現れないかしら、今度ルートヴィヒ閣下にでも紹介してもらおうかしら
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