○レヴィン＝クレイヴ、人間、男、２４歳、ナーハン／ギュノロン連合騎士、称号：冒険者、クステ：大亀の瞳、帯びし者
誇りと共に馬を売り払い、家名を成すために敢えて家を捨てた高貴なる者。
○パム＝トム＝ポンク、丘小人、男、３０歳、丘小人の農夫、クステ：月うさぎの瞳、帯びし者
過去の記憶は無いが、黄金色に輝く麦畑が脳裏にこびりつき、そこが故郷に違いないと探し歩く放浪者。
○アドル、人間、男、２０歳、傭兵、称号：冒険者、魔術使い、クステ：大龍の瞳、帯びし者
赤毛の戦士、だがリーシュに魔法の才能を発見され、以来、師と仰ぎついていく。メリクルは黒曜石のオカリナ
○リーシュ＝フェミエルノ、妖精族、女、１７６歳、エルロウダの木妖、称号：魔術使い、クステ：大龍の瞳、帯びし者
重要な使命を帯び、森を離れたことを覚えてない思春期の乙女。メリクルは緑の竪琴
アドルとリーシュは、森の木漏れ日で目覚める、お互いがタトゥーノ＝メノンであること以外わからないまま、
リーシュの「お腹空いた」の一言で、アドルは本能的に炊事を始める。
レヴィンは街道沿いの小屋で目覚め、寝起きの憂さ晴らし代わりかとりあえず扉を蹴破り外に出る。
パムは緑の麦畑に突っ伏していた、用水路の水で喉を潤し、人里を目指す。
自分の名前以外、何のためにそこで眠っていたのかすら思い出せないまま、何かに導かれるように、彼らは出会う。
つい先日発売されたローズトゥロード・リプレイ『ソングシーカー』の興奮冷めやらぬままのローズでした。
レベル１キャラスタート、タトゥーノも軽く採用って事で、二人ほど魔術使いになってます。
一応リプレイ直後の、世界が眠りに就いている時期をイメージしたシナリオです。
おそらく忘却の呪縛に打ち克つであろう、意志の強きもの、というつもりでしたが、当然ＰＣは自覚してない模様。
セッション中はとにかくファンブル、クリティカル連発、気が付いたらレヴィンとアドルが魔法修得してるし、
リーシュは戦闘とは全く関係ないところでメイン武器の弓が壊れてるし、もう何がなんだか。
でも、それが、ローズトゥロードなのかも。
各ＰＣ達は、目覚める、森の中で、草原で、あるいは山小屋の中で、
ただ、どうしてそこで眠っていたのか思い出せない。
王の道を見つけ、まず移動することにすると、脇道への入り口に、
“イルルミスの村”と書かれた立て札を見つけることが出来る。
村へ近づくと、まず、牛を飼っているらしい牧場が見える。
牛達は横たわっていて、そのうちの一頭に、
鬼族のゴブリンたちが群がってかぶりついている。
追い払おうとするなら戦闘になる。
ゴブリン達を追い払うと、かぶりつかれていた牛は、足が二本千切られているが、
悪夢でも見るような様相のまま眠っている。
このままでは出血多量で死んでしまうのでむしろ止めを刺してやるほうが慈悲。
村で宿を探そうとするなら、心魂のＲＲで１２以上で、そこそこ大きな建物が見つかる。
そこは入り口が両開きの扉になっていて、一階が酒場になっているようではあるが、
酔いつぶれたように、テーブルに突っ伏しているオヤジが一人居るだけで、
カウンターには誰も居ない。
眠っているオヤジはどうがんばっても起きない。
宿が見つからない場合、そうでなくても村の家を探す場合、
入ったところでサイコロの出目でランダムに決定。
１：ゴブリンたちが食べ物を漁っている家
２：机に突っ伏して寝ている人が居る家
３：台所で倒れて眠っている人が居る家
４：誰も居ない家
５：ベッドで眠っている人が居る家
６：ベッドで眠っている人に亡霊が群がっている家
家から出るたびに心魂のＲＲで１５以上、
もしくは亡霊に２回以上出会ったところで、
木彫りの犬が尻尾を振っているのを見かけることが出来る。
心の声を聞く特技か、心魂のＲＲ１３以上で、
犬がＰＣ達をどこかに連れて行きたがっているのがわかる。
犬についていくなら、村のはずれの丘の上にある小さな屋敷に連れて行かれる。
中に入ると、犬がテーブルの上にある金属製の円盤によじ登り、座ると、
怪しげな光を放ち、老人の声で語り始める。
「よく来た、意志の強き者よ、
今、世界は破滅へ導く勇者達の手により、覚めることなき眠りについている。
私も眠りの力には逆らえず、ただここに伝言を託すのみである。
だがいつの日か、世界が全てを思い出し、いや、忘死病に打ち勝ち、目覚める日は来る。
その日のために、そなたも眠りに就くことになろう、さもなくば、やがてすべてを忘れるのみ。」
ＰＣ達が何かを質問をしても、答えることはなく、ただ語り続ける。
「唯一つ、気懸かりがあり、万が一のためにここに言葉を残した。
その昔、言葉ある者全てを憎む邪悪なる魔術師により、夢を喰らう魔物が創られた。
私は全精力を賭け、その魔物を封じたが、このまま眠り続けるうちに、
その封印が敗れるかも知れぬ。
そうなれば、我らは確実に目覚めることなく、心を食い尽くされ、
世界は本当に永遠の眠りに就くことになろう。
そなたにこのアイホを託す、そなたに力があれば、このアイホが封じられた魔物へと導き、
永遠の封印となるであろう。」
それだけ言うと、光は収束する。この時、ＰＣ達のヒットポイントは全て回復する。
犬（アイホ）はテーブルから降りると、表に出て、ＰＣ達を待つ、
ＰＣ達が付いていくと、牧場の奥の森へ進んでいく。
森の木々はシンと静まり返っているが、
必要以上に暗く、落ち込んでいるような印象すら受ける。
そのまま進んでいくと、一つの大きな、そして特別暗い印象を醸し出している木妖、
というより木そのものから、亡霊が湧き出している、
逃がしたゴブリンが居ればやはりここに居る。
木が全霊を震わせるような声で、ＰＣ達の魂に訴えかけるように、
「我は滅びぬ、我を忘れることは出来ぬ。」
と叫んだかと思うと、亡霊とゴブリンが向かってくる。
木はＰＣが通常攻撃範囲まで近づいてくると、石つぶでの魔法で攻撃する。
戦闘に勝利すると、木は木妖らしく女性系の人型になり、倒れ、恐れおののき、
「滅びたくない、世界から忘れられたくない。」
「魔術師ルーコウに教えられた、世界が我を滅びに導くと、
防ぐためには、人の夢から魂を喰らい、永遠の眠りに就かせるしかないと、
そしてそのための力を与えると。」
その後の扱いは、ＰＣ達の意見に任せる。
特に出なければ、アイホは木妖に寄り添い、暖かな光と共に吸い込まれていく。
それは木妖に残されていた最後の良心であり、
完全に闇の心に飲まれる前に、屋敷の老人が取り出したものである。
やがて木妖は落ち着きを取り戻し、
「ありがとう。我は邪な呪いにとらわれていた。
そして今、世界は忘却から逃れるための眠りの時期であることを理解した。
皆も眠るが良い、目覚めの時のために。」
そして子守唄のような葉ずれの音を立て、やさしい木の姿で眠りに就く。
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