シナリオ7
ポロンのゆかいな旅日記
隣では疲れた顔をした仲間達が静かな寝息をたてていた。
ポロンは今回の仕事を思い出しながら独り夜空を見上げていた。

事の始まりは半月前、厄災的平和主義エルフのミルーが
馬車男に声をかけられたところからだったか。
男はゼルシドの遣いだと言う。
ゼルシドが誰であったか思い出すまでに半日ほどかかったがそれはそれ。
俺の中ではすでに過去の人物なのだ仕方あるまい。
そのゼルシドから仕事の依頼を受けて来たらしいミルーは、
そう言う事になったのだと俺(ら)に告げた。
何かカイが馬車を帰してしまった事をミルーに抗議していたが、まぁ俺には関係の無い話。
仲間は仕事前の旅支度をし、翌日の朝に街を出発をする。ゼルシドの居る首都チェイスへと。
街を出発して3日ほど経た頃だったろうか。ここで些細なミスが発覚した。
俺は朝に街を出たら昼くらいにはチェイスへ着くくらいの気持ちで出ていたため
保存食をひとかけらも所持して来なかった。が、まぁそれもいつもの事なので些細な問題。
いつものごとく仲間に食料を分けてもらい過ごしていた。

そして4日目には全ての食料が尽きていた。。。

地図を開く。チェイスまでの道程は………10日。。。
残り6日の道程。。。食料ゼロ。。。遠いな。
何故旅支度に1日かけてアレやコレや剣や鎧やとショッピングしていたのに
誰も食料の事に触れなかったのだろう?まぁ手ぶらで出て来た俺が文句を言えるはずもない。
今更ながら何故カイが馬車の事をミルーにうるさく言っていたのかを思い出していた。

兎追いしかの山。小鮒釣りしかの川。
こうしてマルム、ソフール主催のサバイバーな生活が始まった。
(彼女らが居なかったら飢えていただろう事は言うまでも無い)
途中、やたら強い狼群(たぶん森の主であろう)や
褐色の体毛が無い尻尾があったかどーだかの謎の物体やらが襲って来たが、
ロドーリルにその人有りと言われた(ミルーだけがやたらと目立ってはいるが)
俺達には叶わないと悟ったのだろう。軽く撫でてやったら逃げていった。
旅路遅れる事11日目、無事チェイスに到着。
早速も俺達はゼルシドへと依頼内様を聞きに出向く。
依頼はなんの事は無い。
最近カテキンと言う男がとある塔に閉じこもって魔導の研究をしているらしいとの事。
そして事ある事に俺達冒険者を使うのもいつもの事だった。
塔へは少し門番との行違いがあったもののあっさり入る事が出来た。
カテキンは塔の最上階。途中、風の精霊シルフの暴走を感じられたものの
俺達の戦力を半分ほど持っていったにすぎなかった。もちろん俺達は余裕だ。
ミルーは生死の狭間を彷徨っていたらしいがとりあえず死んではいなかったと記憶している。
俺はフォースの打過ぎで精神力が限界を遠に超えていて気を失いそうになったが、
魔晶石を使っていた事を思い出した。限界を超えていたと思ったのは勘違いだったようだ。
最上階。聳え立つは魔導を極めんとする男、カテキン。
その後ろには鍋だかフライパンだかから召喚された精霊王ジンであった。
罪を自白するカテキン。ジンに裏切られるカテキン。魔法使えないカテキン。
仕方なく殴り掛かるカテキン。それでも強いカテキン。苦戦する俺達。。。
それでも俺達は負けなかった。
ミルーが魔法を掛け、俺が、カイが、ソフールが、マルムが殴りかかった。
見栄えは悪かったかもしれないが、それでも俺達は勝ったのだ。
ゼルシドの元へ戻った俺達は報酬を受け取り、その足でロドーリルを出た。
カテキンのお陰で魔術師の肩身が一層狭くなったからだった。
そして俺達は旅の途中。。。
ミルーの兄が西に居るかもしれないと情報を手にして。

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